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二十世紀の名曲 5 ~僕のみたビートルズはTVの中~

二十世紀の名曲 5 ~僕のみたビートルズはTVの中~_d0096218_3453771.jpg斉藤和義を初めて聴いたのは何時だったか、もう忘れてしまった。若い友達が「こんなの聴きませんか?」と持ってきたCDの中の一枚「Golden Delicious Hour 」がそれで、多分2000年頃だと思う。だから彼に関しては後追いしている事になる。この盤はライブ盤で、非常にロック色濃い内容だが、後に彼は基本的に弾き語りのスタイルから始ったと知る。この中の一曲、「僕がみたビートルズはTVの中」を聴いた時、「斉藤和義、面白気!」と感じた。

(↑は「Winter Caravan Strings」で「Golden Delicious Hour 」じゃありません。
 「Golden..」はコピーして貰ったジャケ写真が何処かへ行っちゃったんで。。)



簡単に言うと「こういう人の時代だなぁ」という感慨というか、驚きと言うか。。我々世代が投げかけていた疑問を尽く自分流に答えを出して、キチンと声に出している。変な悲壮感もなく、かといって無関心を装っている訳でもなく、ましてやスカしてる訳でもない。(スカしてる。。なんて、今の人、解りますかね?)飄々としながらも「俺等だって持ってるんですよ、熱い心。。」と何気なく、映画やPCやバイクや女の子やパスタの話と同じくらいの軽さで喋る。。そんな感じがする。


『欲しいものなら 揃いすぎてる時代さ
僕は食うことに困ったことなどない』

という出だしで呆気にとられてしまった。そうか。。そうだったのか!
彼の世代は、もう「食うこと」に困らなかったのか。それまで私は学生は皆、食うことに困っているかと思っていた。足りない物ばかりで、あれもこれもいつかは手に入れたい!と考えているのかと思っていた。彼等の世代はもう満ち足りていたんだ。それに気がついた時、何故今世の中で「あんな事」や「こんな事」が受けるのか、とても良く解った様な気がした。「なぁんだ、そういう事だったのか」と。

『雨の降る日はどこへも出たくない
だけど大切な傘がない訳じゃない』と歌う。
じゃあ、心底しらけているのかと思うと、

『わけの解らない流行に流されて
浮き足立った奴等が この街の主流
  (中略)
解らないものは解らないけどスッとしない
ずっとひねくれてばっかじゃ能がない
波風のない空気は吸いたくない』と続く。

まるで傍観者の様に、遠い昔、若者が熱狂したビートルズを眺める。
『僕のみたビートルズはTVの中。。』と呟く斉藤和義は多分
ある種の諦めとシニカルな目で、ビートルズをただ「眺めている」のだろう。
象徴としてのビートルズを。

古い船に乗り込む新しい水夫はもう必要ない。
本当は最初から乗る船なんてなかったんじゃないか。
そんな事を強く、強く感じたこの一曲。

この曲が彼のデビュー曲だと聞いて、本当に驚いた。
しかもイカ天系番組の出身だというから。。
今風に言えば「え?マジですかぁ?」って感じだったな。
ふぅ~ん、居る所には居るもんだね。

斉藤和義は日常の切り取り方が異常に上手い。風景が湧き上がってくる歌い手だ。それは少し横道を向いていたり、後姿だったりするけど、それこそが斉藤和義の魅力。彼にはこんな風に見えているんだ。。と少しの寂寥感を感じつつ、妙にストンと落ちる。

私はワンマンのライブを一度、ライジングで2度ほど彼を聴いた事がある。ワンマンの時は流石に私以上の年齢と思われる方を探すのが難しかった。(ざっと見渡したところ5人くらい。。笑)
いやぁ、ちょっと恥ずかしかった。この間長男に「最近良いのあった?」と聞かれて「若手じゃ斉藤和義だね」と言うと「斉藤和義はもう若手じゃないでしょ」と言われた。そうだねぇ、彼って本当は私と10歳も違わないんだし、もうデビューして大分たってるから決して「若手」じゃないんだ。
でも、それ以降にでてきた人達は私には良く解らない。
斉藤和義以降、よく一括りにされている曽我部恵一、ハナレグミ。。この辺り。そして更にそれ以降のオレンジナントカや、ロミオナントカ、チキンナントカとなると、もうお手上げ状態だ。
特に曽我部恵一の何が凄いのか全然理解できない私はもう、この流れについて行けない世代の人間なのだろうし、無理について行く気もない。ただ斉藤和義を見つけた時の様に、自分のアンテナにビビビとくる音楽を探して行きたい。だから若い友人が持ってくるCDも拒否反応を示さないで、耳を傾ける様な柔軟さだけは持っていたいとは思っているけどね。

斉藤和義の最近はベスト盤を出したりして、余り興味のある話がなかったが、最近出した「紅番」は他人の曲をカヴァーしていて面白そうだなと思い、聴いてみた。面白いわ、斉藤和義。
一番好きなのは「Winter Caravan Strings」と「青春ブルース」。初期の頃の曲は結構CMなんかにも使われていて知っている曲もあると思います。私は「ファイヤードック」とか「僕の踵はなかなか減らない」「Mojo Life」など、どっちかというとハード系の曲が好きです。「スナフキンソング」も大好き。出だしの詞が良い。「そんなの知らなくて良いさ、半端な馬鹿になるからな」って。笑える。
この時期庭仕事をし乍ら聴くのは何故か決まって斉藤和義。ノリノリで跳ねながら庭仕事師と化す。
まぁ、長々とどうでも良い事書いてしまったけど、斉藤和義、機会があったら聴いてみて下さい。
(『』内、作詞:斉藤和義「僕のみたビートルズはTVの中」より)
by kojipiano | 2007-05-22 08:36 | 音楽


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